レジデント・アーティスト2019決定!

アーカススタジオで活動する今年度のレジデントアーティストが決定しました!
今年は、642件(88か国・地域)の外国人による応募と、23件の日本人による応募がありました。招聘アーティストは9月4日から12月12日までの100日間、アーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加します。

クリストファー・ボーリガード(イタリア)

渡邊 拓也(日本)

ルース・ウォーターズ(英国)

 

なお、審査は竹久侑氏(水戸芸術館現代美術センター 主任学芸員)、田坂博子氏(東京都写真美術館 学芸員)をお招きし、アーカスプロジェクト実行委員会との協議のもと行いました。

クリストファー・ボーリガード
(イタリア)

クリストファー・ボーリガード


[主な展示・活動歴]
2018 ‘Mauvais Voisin’, Le Sceptre, ブリュッセル, ベルギー
2017 ‘Meeting Points 8: Both Side of the Curtain’, Beirut Art Center, ベイルート, レバノン
2016 ‘Meeting Points 8: Both Side of the Curtain’, La Loge, ブリュッセル, ベルギー
2015 ‘The 31st Biennial of Graphic Arts’, International Centre of Graphic Arts, リュブリャナ, スロベニア
2014 ‘Pittsburgh Biennial 2014’, Pittsburgh Center for the Arts, ピッツバーグ, ペンシルベニア州, 米国

クリストファー・ボーリガード

A still-life is just a game of proximity
Sculpture, 2018
Photo by Fabrice Schneider

クリストファー・ボーリガード

but I am never so happy as when the morning comes and I can return to the toil from which my contentment springs
Single channel video installation, 40′, video still, 2015

クリストファー・ボーリガード

Courgette Cairn
Sculpture, 2018
Photo by Fabrice Schneider

1981年アメリカ、アイダホ州生まれ。現在ベルギー、ブリュッセル在住。カーネギーメロン大学にてファインアートを学んだ。ボーリガードは、労働と余暇の関係に関心を持ち、主にオブジェを用いたインスタレーション作品を制作している。都市の構造と人間の行動を観察しながら、労働によって編み込まれる日常とその空隙に生まれる遊びの関係を、有機物と無機物また質感の異なる素材を組み合わせることによって軽やかに浮かび上がらせる。

[選考理由]
彼は、2020年のオリンピック・パラリンピックによって変化する東京を、過去に同様の経験をしたバルセロナやロンドン、さらに50余年以上前の東京と比較をしながら調査する。いずれの都市にもオリンピック・パラリンピック時に建てられ、現在は使われていなかったり取り壊されたりしている建築物がある。またそれが与えたコミュニティへの影響についても調査し、インスタレーションとして発表する予定だ。世界が注目するイベントを構造的に分析しつつ詩的に表す方法論に期待ができる。

渡邊 拓也 (日本)

渡邊 拓也

Photo by TU-TIMA


[主な展示・活動歴]
2018「明け方の計略」, 駒込倉庫 Komagome SOKO, 東京
2017「野生展:飼いならされない感覚と思考」, 21_21 DESIGN SIGHT, 東京
2017「ゆるんだ遠近法」, gallery COEXIST-TOKYO, 東京
2016 アートアワードトーキョー 丸の内 2016 審査員賞
2015「TWS-Emerging 2015【第6期】」, トーキョーワンダーサイト渋谷, 東京

渡邊 拓也

The things his brother was seeing /《弟の見ていたもの》
Video installation, 14′48″, video still
2018

渡邊 拓也

Factory worker “K” /《工員K》
Single channel video installation, 21′22″, video still
2017

1990年東京生まれ、在住。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。調査や聞き取りを通して出会ったある個人の境遇を取り上げながら、逆説的に社会の構造や力を明かすような映像インスタレーションを制作している。もともと陶芸をやっていた渡邊だが、ある時訪れた陶器のタイル工場で目にした工員の単純作業に着想を得て制作した、労働をテーマにした作品《工員K》、また、兄弟の関係と家庭内暴力を巡る出来事をモチーフに、郊外や家族をテーマにした作品《弟の見ていたもの》などをこれまでに発表してきた。

[選考理由]
アーカスプロジェクトでは、守谷市のとなりの常総市での、日系ブラジル人コミュニティと日本人社会との分断に着目し、調査を経て作品を構築する。2015年の夏に起きた関東・東北豪雨は常総市を流れる鬼怒川の堤防を決壊させ、非常時における人々の協働を生んだ一方で、その災害情報の伝達を巡ってはコミュニティの分断も明らかになった。当時の心理や感情について当事者への聞き取りや現場での調査を行う予定だ。自然災害や移民、労働などをテーマに現代の日本の社会を捉えなおす試みに期待が持てる。

ルース・ウォーターズ(英国)

ルース・ウォーターズ

Photo by Soohyun Choi


[主な展示・活動歴]
2019 ‘Frequency of Magic’, out_sight, ソウル, 韓国
2019 ‘All About You’, The Koppel Project Hive, ロンドン, 英国
2019 ‘Push Your Luck’, Island, ブリュッセル, ベルギー
2018 ‘The 6th Moscow International Biennale for Young Art’, モスクワ, ロシア
2018 ‘White Shadows’, wumin art center, 清州, 韓国

ルース・ウォーターズ

Emotion Over Raisin
Video installation, 15′
2019
Photo by Rocio Chacon

ルース・ウォーターズ

REDSKY66
Single channel video installation, 17′, video still
2017

ルース・ウォーターズ

J.A Generalized Anxiety Relaxation
Video installation, 12′
2016

1986年イギリス、ランカスター生まれ。現在はロンドンを拠点に活動している。ゴールドスミスカレッジにてファインアートを学んだ。ウォーターズは、高度にネットワーク化された現代において、過密になるコミュニケーションが現代に生きる人々に及ぼす「不安」に関心を寄せている。インターネット上の資料の調査や当事者への聞き取りなどをもとに自ら脚本を書き、セットを設え、撮影し、映像インスタレーションとして発表する。

[選考理由]
彼女は、人間のエゴと宇宙開発について調査をする予定。後期資本主義社会において、人類が未だ到達していない領域を切り開いてゆく意思と行動は一体何に支配されているのかという問いに向き合う。人間はいつ宇宙を意識するのか、またそうした宇宙空間と資本主義との関係はどのようなものであるのかを、関係者や専門家に聞き取りを行い、映像として発表する。世界(資本主義)と宇宙空間の関係を守谷から考えるという視点は注目に値する。

2019年度の選考結果について

2019年度から日本人アーティストの募集枠を1枠再導入し、外国人アーティストを2人、日本人1人を受け入れることにした。海外からの応募については、ヨーロッパやアジアからの応募数が例年と同じくらいであったが、アフリカ大陸の国々からの応募数が飛躍的に伸びた。また日本人のアーティストは、すでに美術館などでの展覧会に出品している実力の備わった人から美大での課程を修了したばかりでこれから作品の核を構築してゆく人まで、さまざまなキャリアのアーティストからの応募があった。最終審査の対象になったのは、思考と制作態度が一貫していながら、アーカスプロジェクトに滞在する積極的で具体的な動機があり、自ら設定した新たな課題に取り組む姿勢がみられるアーティストであった。そのなかでも、「引きこもり」や「禅」、「侘び寂び」、「郊外」といった多くの応募者が掲げる制作モチーフやテーマとは異なる、独自の視点や思考で提案をしているアーティストを選んだ。

小澤 慶介(アーカスプロジェクト ディレクター)

※2019年度のレジデンスプログラム公募受付は4月19日をもって終了しました。
2020年度の「アーカスプロジェクト2020いばらき アーティスト・イン・レジデンスプログラム」公募に関する情報は、2020年3月に本ウェブサイトとメールマガジンで公開する予定です。メールマガジンの購読はこちら

エクスチェンジ・レジデンシー・プログラム2018

アーティスト

[受入団体]
ホスピタルフィールド〈英国〉

[派遣期間]
2019年9月2日-28日

[選出]
派遣アーティストは、アーカスプロジェクト実行委員会が推薦した日本国籍を有するアーティストの中から、ホスピタルフィールドとアーカスプロジェクト実行委員会が選出。

佐藤朋子

佐藤朋子


[主な展示・活動歴]
2019「ふたりの円谷」上演, SHIBAURA HOUSE, 東京
2019「103系統のケンタウロス」上映, 渋谷ユーロライブ, 東京
2019「103系統のケンタウロス」展示, Gallery Saitou Fine Arts, 神奈川
2018「瓦礫と塔」上演, 浅草公会堂, 東京
2018「しろきつね、隠された歌」上演, BankART Studio NYK, 神奈川

佐藤朋子

Shiro-Kitsune, The Hidden Song
Lecture-performance, 2018

佐藤朋子

Centaurus on Route 103
Audio guide, brochure, 2019
Photo by Nozomi Sawamoto

佐藤朋子

The Double Tsuburaya
Lecture-performance, 2019
Photo by Miku Sato

1990年長野県生まれ、神奈川県在住。2018年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。レクチャーの形式を用いた「語り」の実践を行う。史実の調査過程から浮かび上がる事柄を複眼的につなぎ合わせ、フィクションとドキュメントを行き来する物語を構築する。日本が辿ったいびつな近代化への道のりや、大文字の歴史からこぼれ落ちてしまった出来事が物語る歴史の複数性への関心と、各地に残る伝説や遺跡などへの興味から作品を制作する。

[推薦理由]
佐藤は、ある史実を調査する過程で新たに知り得た出来事や事実を組み立て、現代における人々の意識や社会が抱える課題などを浮かび上がらせる。例えば、岡倉天心の手による未完のオペラ作品 The White Fox を取り上げながら日本の伝説における「狐」の意味を再考したり、横浜市内にある旧根岸競馬場などの歴史的遺構をモチーフに、架空の再開発計画を語ることで今の社会を照らし出したりする。それらの作品は、映像やオブジェを使いながら彼女自身が語ってゆくレクチャーパフォーマンスや、彼女の指示によって鑑賞者が現場を訪れながら作品を経験するツアー形式をとる。スコットランドでは、パフォーマンス・アートの歴史を調査するほか、多言語によるレクチャーパフォーマンスの可能性を追究する。
異なる言語文化での調査が、佐藤の表現における創造的な翻訳行為と作品の構築方法を発展させることに期待したい。
小澤慶介