レジデント・アーティスト2011 決定!

今年ももりや学びの里のスタジオで活動するアーティストが決定しました!

世界中から174名、55カ国・地域より応募のあった公募枠から、ポーランド、香港、パキスタンよりそれぞれヴォイチェフ・ギレヴィチュ、ワイ・クエン・フイ、ファザル・リズヴィの3名が決定しました。

なお、公募に関してはアーカスプロジェクト実行委員会と遠藤水城(インディペンデント・キュレーター)における予備選考の後、最終選考において3名の国際的に活躍するキュレーターが審査員となって3名のアーティストを選出しました。
審査員は右記になります。

エミリアーノ・ガンドルフィ〈イタリア/オランダ在住〉
建築家/キュレーター/Cohabitation Strategies 共同設立者

ハナ・マシューズ〈オーストラリア〉
Australian Centre for Contemporary Art アソシエイト・キュレーター

フリオ・セサール・モラレス〈メキシコ〉
アーティスト/Queens Nails Projects and Yerba Buena Center for The Arts キュレーター

アーカスプロジェクトの
アーティスト・イン・レジデンス
について

アーカスのレジデンスプログラムは、滞在中に展覧会を実現するということがゴールではなく、また、決まったアイデアをもちこんで、AIR滞在中に形にするためのプログラムではなく、迷い、実験を繰り返しながら、さらに先のキャリアに向けて、アーティストが自分自身の新たな可能性を自分で発見し、柔軟に拡張していく日々になることを目指します。

2011年の選考結果について

近年のアーカスプロジェクトの方向性をふまえ、滞在地域である守谷市、茨城県の地域性、風土、気質といった土地独特の特質、文化に対して創作の興味とテーマを見いだせるタイプのアーティスト、及びプロジェクト提案を採用。アーカスプロジェクトの基本的な選考基準である「今後の活躍が期待される新進芸術家」を証明する充実した活動をこれまで行ってきていること。また、アーカスプロジェクトの支援を受け、滞在中に自らの課題に取り組み、創作活動を率先して組み立て、実現できる自律的なアーティストであること。そして、アーカスでの滞在経験を活かし、自国で展覧会を実現するなど、多様な方法によりプレゼンテーションをする意欲があり、その後のキャリアにアーカスが必ず大きな貢献もたらすことが見込まれる3名である。

特に、今年度は東日本大震災により被災地となった茨城県が滞在地であるという事実にそれぞれの視点と文化的立場で向き合い、よそ者でありながらも、地域の心情に寄り添い、日本社会、人に共感可能な普遍的なテーマを持つ3名を選出するに至った。昨年度と大きく異なるのは、リサーチを中心とした滞在制作から、「町中やスタジオで制作しながらリサーチする」というプロセスが高い確立で予想できるアーティストとなったことである。ヴォイチェフ・ギレヴィチュ(ポーランド)には、守谷の開発市街地、屋外での制作を期待する。ワイ・クエン・フイ(香港)には、同じアジア人としての東洋の哲学、アイデンティティの有り様を「天災」という自然が引き起こす出来事にひきよせながら、被災地である滞在地との深みのあるコミュニケーションを期待する。ファザル・リズヴィ(パキスタン)には、「家族」というミニマムなユニットがはらむ希望と絶望を、滞在地でホームステイすることで、疑似体験する内容になることを望んでいる。滞在中における3人の活動は、アーカスの今年度の活動方針に添って、スタジオ=もりや学びの里を起点に、それぞれの触れ幅と距離をもってスタジオと町を往来しながら人に広がることとなる。

ヴォイチェフ・ギレヴィチュ

1974年ポーランド生まれ

ヴォイチェフ・ギレヴィチュ ヴォイチェフ・ギレヴィチュ ヴォイチェフ・ギレヴィチュ
審査員のコメント

ヴォイチェフ・ギレビィチュの作品は常に、特に都市的コンテクストから興味深い方法によって現実を読み込むことで生み出される。アートにおける固定概念や常套句を問いながら、彼は自身の作品を外観、知覚、表象についての自由な探求に開け放っている。彼がプロポーザルのなかで望んでいた、現代の都市環境について公開ディスカッションを行うワークショップのアイデアも面白い。しかしながら、彼は、私の選考のなかでは比較的、自己言及型で自律的なアーティストであるようだ。

エミリアーノ・ガンドルフィ

審査員のコメント

アート作品に対する彼のアプローチとプロセスは、ペインティング、バブリック・アートそして社会彫刻の新しい道筋を開発することへの挑戦と根深い関係があるようだ。彼は、興味深い方法によってコミュニティとの関わりを持ち、双方にとって意義があり、また同時に挑戦的でありうる恊働を提案している。

フリオ・セサール・モラレス

ワイ・クエン・フイ

1973年香港生まれ

ワイ・クエン・フイ ワイ・クエン・フイ ワイ・クエン・フイ
審査員のコメント

ワイ・クエン・フイはこれまで行ってきたプロジェクトによって常に社会において極めて重要な問いを投げかけ、興味深い独自の表現の手段を生み出してきた非常に機知に富んだアーティストである。「不可能性」の詩的かつ実用的な見地からの彼の研究は、潜在的可能性や近年の社会的・政治的改革の不全に対しての調査を通じた仮想の定義に挑む創意に満ちたものである。彼の行っている古代天文学や神話に関する研究活動は、茨城を舞台に、現実を捉え直すオルタナティブな方法を試行し、「不可能」な未来への想像を誘う刺激的なエクササイズになるだろう。

エミリアーノ・ガンドルフィ

審査員のコメント

ワイの哲学や形而上学への探究は、日本という国、また私自身も体験したそこでの生活へのアプローチと多くを共有している。彼の実践は、それらの領域にまたがる自身の研究を、興味深くそして地域の参加や感応に開かれたかたちへと押し広げる働きをするようだ。メールでの彼の雰囲気では、地元のアーティスト・コミュニティとの恊働や、最近の不安定な生活や喪失を経験してきた地域住民双方に貢献する働きができる人物のようである。彼の参加は生成的で思慮深く刺激的なものになると思う。

ハナ・マシューズ

ファザル・リズヴィ

1987年パキスタン生まれ

ファザル・リズヴィ ファザル・リズヴィ ファザル・リズヴィ
審査員のコメント

絵画制作に集中して取り組むファザル・リズヴィは、アーカの近年のレジデンスプログラムでは取り扱いにくい活動分野のアーティストである。しかしながら、今年度事業の応募期間早々に発生した震災により、わたしたちの社会、日常生活への感覚は大きく変化したと言わざるを得ない。被災地である茨城県、特にいま、原発事故による放射線汚染の数値が高くなってしまった守谷市の風景は、震災前となにも変わっていないのだが、人々の心の景色はたしかに変わった。変わらない訳にはいかないと感じる。昨年までは、アーカスのレジデンスプログラムは建物の外へ、外へと向かうベクトルにのって進んで行った。アーカスは今、外に向かうだけではなく、内に向かうベクトルの必然性を実感している。ファザル・リズヴィがしつように描く「家族」というテーマ、希望している守谷の一般家庭での「家族の体験」を経た絵画制作という提案に、震災後のアーカスが選択したテーマと新しい方向性をかぶせてみたいと思う。

小田井真美
(アーカスプロジェクト ディレクター)

アーカスプロジェクト2011いばらき
アーティスト・イン・レジデンス・プログラム

レジデント・アーティスト募集 (終了しました。)

2012年度のアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「アーカスプロジェクト2012いばらき」に関する情報は、2012年初めに本ホームページにて公開する予定です。