レジデント・アーティスト2021決定!

今年度のレジデントアーティストが決定しました! 今年は世界52カ国・地域より233件の応募がありました。厳選なる審査の結果、オランダよりマリョライン・ファン・デル・ローを選出しました。2020度にオンライン・レジデンスプログラムに参加したイエヴァ・ラウドゥセパ(ラトビア)、ミロナリウ[クロディアナ・ミローナ&ユァン・チュン・リウ](アルバニア/台湾)も加えた3組のアーティストは、12月3日から2月25日までの85日間、オンライン・レジデンスプログラムに参加し、オル太(日本)は茨城県守谷市のアーカススタジオで滞在制作を行います。

マリョライン・ファン・デル・ロー
(オランダ)

審査は、井關悠氏(水戸芸術館現代美術センター 学芸員)、野村しのぶ氏(東京オぺラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)をお招きし、アーカスプロジェクト実行委員会との協議のもと行いました。

アーカスプロジェクトは、新型コロナウイルス感染拡大により渡航が困難な状況においても、長年に渡って培った経験やノウハウを生かし、表現活動を続けるアーティストへの支援を継続してゆきます。

マリョライン・ファン・デル・ロー

マリョライン・ファン・デル・ロー

Photo: Roel Janssen


[主な展示・活動歴]
2021 CCA北九州フェローシップ・プログラム, 現代美術センターCCA北九州, 北九州, 日本
(新型コロナウィルス感染拡大によりキャンセル)
2019 「Around the Fire」(キュレターとして)Jan van Eyck Academie, マーストリヒト, オランダ
2019 「Once Upon A Town」(キュレターとして)Urban Storytelling Festival, マーストリヒト, オランダ
2019 Student Day Program(キュレターとして)Kiasma Museum of Contemporary Art, ヘルシンキ, フィンランド
2018 Alternative Education Programme(レジデンスプログラム参加)Rupert, ヴィリニュス, リトアニア

マリョライン・ファン・デル・ロー

Lunar Calendar, Project, 2018

マリョライン・ファン・デル・ロー

Once Upon A Time, Project, 2019

マリョライン・ファン・デル・ロー

Speculations on a Wild Strawberry, Project, 2019

1987年オランダ、ヘレーン生まれ、マーストリヒト在住。ユトレヒト大学で美術史、アールト大学(ヘルシンキ)にて、ヴィジュアル・カルチャーとキュレーションを学んだ。ファン・デル・ローはキュレーター、エデュケーターとして活動し、制作動機と方法論から近代社会を批評的に捉えるとともに、人間と自然のかかわりを結び直す試みをしている。集約的かつ排他的な近代社会のあり方への対抗として、彼女自身は他者との協働を行ったり、視覚のみならず五感を活用した展覧会制作や教育プロジェクトを実践したりする。バイオダイナミック農法に関連する薬草のお茶や料理を分かちあう教育プログラムを実行し、そのカレンダーを作品化した《Lunar Calendar》をはじめ、非人間の観点から近代社会の行く末と、人間が生き延びるための方法論を指し示すプロジェクトなどがある。
https://www.marjoleinvanderloo.com

[選考理由]
ファン・デル・ローは、植物の観点から人間と生態系の関係の組み直しについて取り組むため、桂の木とそれにまつわる伝説「桂男」を調べ、映像やレクチャー・パフォーマンスなどの形にして発表をする予定だ。中国より我が国に伝わった桂男は、いずれの国においても月と関係して語られる。植物にはじまり月をも視野に入れながら人間を捉えなおす試みは、人間と自然を分かち、生態系を失調させてきた近代社会と資本主義を客観的に捉えつつ、人間の行くべき道を照らし出すことだろう。アーティストでありキュレーター、また教育者でもあるファン・デル・ローの、ワークショップや執筆、展覧会、パフォーマンス、レクチャーなど多岐にわたる形式を採りながら調査研究を発表する方法論にも期待が持てる。

2021年度の選考結果について

2021年度は、外国籍のアーティスト1枠の公募を行った。アーカスプロジェクトはじまって以来はじめて、応募に際して申請料を課した。そのため、例年に比べて応募者は減少し、233名となった。一方で、応募者の活動内容や滞在制作のプランにおいては質的な向上が見られ、審査は例年以上に内容の濃い話し合いが繰り広げられた。プランのなかには、植物や湖を巡って考察されるエコロジーをはじめ、デジタルテクノロジーの進化の陰で捨て去られる電子廃棄物、基地と市民の闘争、コンクリートという物質とその消費から都市を読み解く試み、芸術を地域社会のヒーリングの手段とする試みなど、近代社会へ関わりを持とうとするものが多く見られた。数ある候補のなかから、多視点的で他者と協働しながら人間と自然の関係を結び直す実践者を選出した。

小澤 慶介(アーカスプロジェクト ディレクター)

イエヴァ・ラウドゥセパ

Ieva Raudsepa

Photo: Alia Ali

1992年ラトビア、リガ生まれ、ロサンゼルス在住。ラトビア大学で哲学を学んだ後、カリフォルニア芸術大学にてMFAを取得。ラトビアがソビエト連邦から独立した後に生まれ、共産主義から資本主義への転換期に育ったラウドゥセパは、自らと同世代であるソ連崩壊後の最初の世代の若者たちを、主に写真や映像作品で表象している。映像制作においては、理論とフィクションの効果的な組み合わせで物語を作り、メタレベルでその物語を問い直す。日常の空間で役者が演技をすることで、役者の演技の虚構性とともに、実際の状況が偶然語る部分にも関心を寄せている。

ミロナリウ[クロディアナ・ミローナ&ユァン・チュン・リウ]

millonaliu [Klodiana Millona & Yuan Chun Liu]

Photo: Pichaya Puapoomcharoen

空間デザイナー兼リサーチャーであるアルバニア出身のクロディアナ・ミローナと台湾出身のユァン・チュン・リウによるロッテルダム在住のデュオ。ハーグ王立芸術アカデミーでインテリア・アーキテクチュアを学び、建築を軸に領域横断的な活動を展開している。その発表形式は、建築の実践、映像、書籍、展覧会、ワークショップなど多岐に渡る。ウクライナでの滞在制作《Leave Us Alone》では、社会変革から取り残された工場に着目し、労働者と協働でフェスティバルを開催することで、社会の流れから取り残されながらも孤立したコミュニティを形成している工場の社会的な側面に光を当てた。

オル太

OLTA

Photo: Shingo Kanagawa

2009年に東京で結成された、6人組のアーティスト集団。これまでに、ゲームや祭りなど、特定の共同体において見られる集団的な行為とそこで繰り広げられるコミュニケーションに着目し、それらを再編・再演する作品 《超衆芸術 スタンドプレー》や《TRANSMISSION PANG PANG》などを手がけてきた。また、近年の作品《耕す家》は、不耕作地に建てたポータブルな家を拠点に、耕作と制作を行うというものだ。オル太の制作は、さまざまな共同体の基盤を揺さぶり、それを支えている思考や慣習、言語、生活様式を浮かび上がらせる。

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