レジデント・アーティスト2017決定!

アーカススタジオで活動する今年度のレジデントアーティストが決定しました!
今年は過去最多となる世界85カ国・地域より717件の応募がありました。公募審査に関しては近藤健一氏(ゲストキュレーター2017)、南條史生氏(アーカスプロジェクトアドヴァイザー/森美術館館長)の2者が行い、3組4名のアーティストを選出しました。

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン
Julieta Aguinaco & Sarah Demoen
(メキシコ&ベルギー)

ダニエル・ニコラエ・ジャモ
Daniel Nicolae Djamo
(ルーマニア)

カーティス・タム
Curtis Tamm
(米国)

 

招聘アーティストは8月25日(金)に来日し、12月12日(火)までの110日間、アーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加します。

フリエッタ・アギナコ&
サラ・ドゥムーン
(メキシコ&ベルギー)

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン

サラ・ドゥムーン(左), フリエッタ・アギナコ(右)


[主な展示・活動歴]
2017 Rabbit Island Residency. Rabbit Island, ミシガン, 米国
2016 ‘Those Quiet Men Who Always Stand On Piers…’, Altiplano Art Space, メキシコシティ,
メキシコ
2015 ‘The Limits of My World’, ABC Art Berlin Contemporary, ベルリン, ドイツ
2015 ‘The Limits of My Language’, Dutch Art Institute (DAI). Showroom Arnhem, アーネム, オランダ
2015 ‘From One Thing to Something Else’, Collaboration with Ben Burtenshaw,
DAI & Casa do Povo, サンパウロ, ブラジル

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン

‘The Limits of My World’,
2015, Script and drawing
(Photo courtesy of the artists and Cydonia)

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン

‘Those quiet men who always stand on piers asked where we were going and when we said 'to the Gulf of California' their eyes melted with longing. They wanted to go so badly’,
2016, Performance
(Photo by Pilar Celorio)

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン

‘Untitled (The Truth of the Disaster)’,
2015, Performance
(Photo by Nil Ilkbasaran)

1983年メキシコ、メキシコシティ生まれのアギナコと1984年ベルギー、トゥルンハウト生まれのドゥムーンはともに、2015年オランダのダッチ・アート・インスティテュートで美術修士課程を修了。以来、ソロ・アーティストとしての活動と並行しながら、メキシコとオランダ、ベルギーという別々の国を拠点としつつも共同制作を行っている。言語、社会空間における発話や人間の認知などに興味を持ち、フィールドワークを含めたリサーチを基に、映像、パフォーマンス、インスタレーションなどを制作する。

[選考理由]
アーカスプロジェクトでのレジデンスのためのプロポーザルは、利根川とその流域の人々との関係の歴史に着目し、犬吠埼までフィールドワークを行って物語を創作するというもので、応募のためにきちんとリサーチをしている姿勢に好感が持てた。最終審査のために制作してもらった2分間の自己紹介ビデオは、本人たちの紹介からアーカスプロジェクトでの活動プロポーザルまでをきちんと織り込みつつも、ポエティックな要素や言葉遊びも交えてあり、良く練れていた。

ダニエル・ニコラエ・ジャモ
(ルーマニア)

ダニエル・ニコラエ・ジャモ

(Courtesy of Berlinare)


[主な展示・活動歴]
2017 ‘Sixteen Routes to the Perfect Sunshine’, Galerija K18, マリボル, スロベニア
2016 ‘Magic… You Want?’, AAI - Afro-Asiatisches Institut Graz, グラーツ, オーストリア
2016 ‘Bjergtrolde’, ARPIA - art with landscape, ヘルゼーレ, ベルギー
2015 ‘Before the End’, KKW (KunstKraftWerk Leipzig), ライプツィヒ, ドイツ
2015 ‘Unicorn Tales’, Victoria Art Gallery,
ブカレスト, ルーマニア

ダニエル・ニコラエ・ジャモ

‘We Want You!’
2014, Billboard

ダニエル・ニコラエ・ジャモ

‘A Last Year in 114 Minutes’
2014, Documentary, 114min

ダニエル・ニコラエ・ジャモ

‘I Have Cut Some Trees’
2016, Intervention

1987年ルーマニア、ブカレスト生まれ。2016年ブカレスト国立芸術大学美術史理論博士課程修了。映像、インスタレーション、立体作品を制作。国外で偶然出会った人にインタビューを行いルーマニア像を提示するドキュメンタリー・タッチの映像作品に代表されるように、作品は母国の経済的状況、移民としてのイメージなど、ヨーロッパ内でのルーマニアの表象をユーモラスに問いかける。自身の家族の歴史などをテーマとした近作もある。インディペンデント・フィルムの世界でも作品を発表し、コンペティションでの受賞経験も多い。

[選考理由]
意図的に母国に関するステレオタイプに言及しユーモアを交えつつも政治性・批評性が高い作品に興味を覚えた。アーカスプロジェクトでのレジデンスのためのプロポーザルは、守谷市民に、ルーマニアを離れて日本に住んでいるという架空のルーマニア人の人物を考えてもらい、そこから2028年のストーリーを作ってもらう、というもので、発想のユニークさが刺激的であった。ヨーロッパでは多数のAIRに参加しているが、作家にとって東アジアのAIRは初参加になる、ということも考慮に入れた。

カーティス・タム(米国)

カーティス・タム

(Photo by Colin Conces)


[主な展示・活動歴]
2017 Recipient of LACMA's Art + Techonology Lab Award
2016 ‘The Viscous Shape’, with Skaftfell Center for Visual Art & GPL Walker Geology Center, 東アイスランド, アイスランド
Collaboration with Hermione Spriggs.
2016 ‘Balancing the Stone’, Titanik Gallery,
トゥルク, フィンランド
2016 ‘Flatlander’, Bemis Center for Contemporary Art, オマハ, ネブラスカ州, 米国
2015 ‘Tympanic Tether’, Santozeum, サントリーニ島, ギリシャ

カーティス・タム

‘A Fly Caught in the Eye of a Filmmaker Making a Documentary about an Insect Trap’,
2013, Sculpture

カーティス・タム

‘A Room in which the Only Wall is in the Middle’,
2014, 10 channel spatialized audio

カーティス・タム

‘Tympanic Tether (Santorini Sirens)’,
2015, Audio performance
(Photo by Hermione Spriggs)

1987年アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれ。2014年カリフォルニア大学ロサンゼルス校デザイン・メディア・アーツ修士課程修了。サウンドや映像を中心に作品を制作。ライブ・パフォーマンスやレクチャー・パフォーマンスも行う。私たちが見過ごしがちな自然現象、地球物理学、地質学などの要素をリサーチし、人間以外のさまざまなものと密接な関係性を構築すべく、ヴィジュアル/サウンド作品を制作するという、ユニークで領域横断的な活動を行う。

[選考理由]
鉱物、竜巻、火山、地熱、アニミズムなどリサーチの主題のユニークさと、最終的な作品形態とのギャップの大きさが俊逸である。そこには知的で理論的な主題を感覚に訴える作品に変換するセンスの良さが感じられる。科学者のリサーチ・アシスタントを務めたり、科学研究機関とのコラボレーションを考案するなど、他者との協働を得意とするように感じられ、アーカスプロジェクトでのレジデンス期間中でも自発的に協働者を見つけ出し、作家本人にとって新たなリサーチ・テーマを発見するのではないかという期待を抱くことができた。

2017年度の選考結果について

717件という応募数の多さ、応募作家の作品の傾向や出身国が非常にバラエティに富んでいることに驚かされた。予想以上に興味深い作家が多数応募しており、3組の選出は非常に困難だったが、すでにキャリアのある40代以上の作家ではなく、若い作家にチャンスを与えることを優先した。最終的には、(実現可能・不可能はさておき)茨城県や守谷市で具体的にどういうことをやりたいのか、というプロポーザルのユニークさを、1つの選定基準とした。逆に、レジデンスならどこでもいい、という点が見え隠れする作家は、ポートフォリオやキャリアが俊逸でも、除外した。過去にアーカスプロジェクトが招へいしたことのない国の作家を選ぶ、という点も多少意識した。偶然であろうが、韓国や台湾など近隣アジア諸国・地域から、興味を引く作家が少なかったのは残念であった。

近藤 健一
(アーティスト・イン・レジデンスプログラム ゲストキュレーター2017)

ゲストキュレーター2017

近藤 健一

(Photo by 御厨慎一郎)

近藤 健一(森美術館キュレーター)
1969年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校美術史学科修士課程修了。2003年より森美術館勤務。「MAMプロジェクト009:小泉明郎」(2009)、「六本木クロッシング2010展」(2010)、「アラブ・エクスプレス展」(2012)、「MAMプロジェクト018:山城知佳子」(2012)、「アンディ・ウォーホル展」(2014)、ビル・ヴィオラやゴードン・マッタ=クラークの映像作品上映(2015)、「MAMリサーチ004:ビデオひろば」(2016)などを企画。そのほかに、2010年には、ローマの非営利ギャラリー、サラ・ウノで若手日本人のビデオ・アート展を企画。2014年~15年には、ベルリン国立博物館群ハンブルガー・バーンホフ現代美術館で客員研究員を務める。

2018年度の「アーカスプロジェクト2018いばらき アーティスト・イン・レジデンスプログラム」に関する情報は、2018年3月に本ウェブサイトで公開する予定です。