2025年度オープンスタジオ開催

12.Sep.2025

アーティスト・イン・レジデンスプログラムの成果発表。
アヴニー・タンドゥン・ヴィエラ、イブラヒム・クルト、佐藤浩一の3人のアーティストが滞在制作の成果をもりや学びの里にあるアーカススタジオで発表します。アーティストが構想し、調査を経て制作した作品とその制作過程をご覧いただけます。
32年つづいたもりや学びの里でのオープンスタジオは、これで最後。来年には守谷市内の別の場所へ移り実施します。これまでに143組のアーティストがプログラムに参加し、思い出がたくさん詰まったアーカススタジオ。この30年を越えて国内外のアートシーンを担った現場にご来場いただき、ぜひ記憶に留めてください。

期間
11月13日 (木)ー16日 (日) 13:00ー18:00
会場
アーカススタジオ
入場料
無料 (上映会のぞく)
アーティスト
アヴニー・タンドゥン・ヴィエラ
イブラヒム・クルト
佐藤浩一
お問合せ
TEL 0297-46-2600(アーカススタジオ)

※タイムテーブル・内容については追加・変更の可能性があります。

プログラム

     

11月15日(土) 13:00- 14:30

アーティスト・トーク

今年度のアーティスト・イン・レジデンスプログラムで招聘したアヴニー・タンドゥン・ヴィエラ、イブラヒム・クルト、佐藤浩一の3人が、それぞれの滞在制作について語ります。当初の作品制作の構想は、途中でどのように変化し、最終的にどのような形になったのか。調査での出来事や制作秘話などを交えて、作品の輪郭が浮かび上がる過程を皆さんにお伝えします。※逐次通訳あり、予約不要

    
    

11月15日(土) 15:30 – 17:30

トーク「ポスト・トゥルースの時代におけるアートの実践」

気候危機、生態系の危機などあらゆる危機に直面するこの時代と芸術の関係を、ベルリンを拠点とするポーランド生まれのアーティスト、アリツィア・ロガルスカの実践を通して考えます。ロガルスカは、これまで東欧をはじめとするさまざまな場所の社会構造や政治的背景を労働という観点から洞察し、農家や移民労働者らとともに地域が抱える社会問題に対する具体的なアイディアを提案してきました。今回はそのなかでも政治や科学が複雑に絡まり合うエコロジーの問題を扱うプロジェクトを紹介し、地球温暖化を加速させたグローバル資本主義とも、国家主導の社会主義とも異なる社会を想像してみたいと思います

             

スピーカー:
藤井光(アーティスト)
中井悠(東京大学アルスノーヴァ/副産物ラボ)
小澤慶介(アーカスプロジェクト)

           

※言語:日本語・英語ウィスパリングあり。予約不要

           
     

11月16日(日) 10:30-11:30

キッズツアー

小学生を対象としたガイドツアーです。アーカスが用意したワークシートを使ってアーティストの作品をじっくりと見て考えます。形や色、材料、またアーティストの思いはどのようなものでしょうか。アーカスのスタッフやお友だちと話をしながら楽しくアートに触れる時間です。定員15名 ※日本語のみ、要予約:締切 11月14日(金)

ご予約はこちら

11月16日(日) 13:30-14:30

ガイドツアー

アーカスプロジェクトのスタッフとともにアーティストのスタジオを巡り、作品が生まれ出る背景やアーティストの滞在制作についてともに考えを深めてみませんか?疑問に思ったことや伝えたいことがあれば、アーティストと直接話してみることもできます。ぜひアートを身近に感じてみてください。※日本語のみ 予約不要

11月16日(日) 15:00-16:45

映画『夏休みの記録』上映会 川田淳 監督

監督自身が隣人として在日クルド人に接することからはじまった一夏の日々を丁寧にとらえた作品です。2019年から日本語学習支援などを通じ、近隣に暮らすお母さんたちや子どもたちと交流してきた監督が映し出すのは、ニュースで伝えられる熱のない情報とは異なる、時に悩んだり笑ったり苛立ったりする人びとの温もりといってもいいでしょう。在日クルド人といっても、その町にやってきて暮らす理由はさまざま。監督が一人ひとりと交わした会話は、とある夏に出会い時間をともにした人たちそのものの姿を瑞々しく描き出します。定員30名。

95分(カラー)
日本語、英語字幕

ご予約はこちら 要予約:締切 11月14日(金)

                   

お支払いはこちら 鑑賞料:¥1,000

                   

公式サイト

 

川田淳

Kawada Jun

1983年埼玉県生まれ。2007年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。沖縄で戦没者の遺骨を掘り続ける男性の手伝いをしながら、遺留品の遺族を探し求める作品『終わらない過去』、中国と沖縄で戦争体験をした元日本兵の証言を記録した作品『生き残る』、ハンセン病回復者の方と追い出された故郷や隔離されていた施設を共に訪れ、その記憶を辿った『石山さん』などを制作。今までに美術館や映画祭などで作品を発表している。

2025年度招聘アーティスト

アヴニー・タンドゥン・ヴィエラ

インド生まれ、在住。キュレーターでライター、またアーキビストであるヴィエラは、区間と形式の関係について探究している。アジアの文脈やそのトランスナショナルな枠組みに着目して制作を行う彼女の方法論は、学問領域を横断する研究や集団による作品制作、そして対話をとおした調査まで多岐にわたる。活動の一部として、抵抗の場としてのオープンアクセス・アーカイブ「The Museum of Ephemera」や、インドとパキスタンの若手作家のためのデジタルプラットフォーム「The Pind Collective」を運営している。また、カメルーンのRAW Académie (ロウ・アカデミー)や光州ビエンナーレなどのプロジェクトに参加し、既成の地図を解体して実験的に再構築する地図やトラウマと街の記憶をテーマとした映像作品などを作っている。その他の活動に、MMCA International Researcher Residency Program (ソウル、2024) への参加や、『Refractions: A Journal of Postcolonial Cultural Criticism』や『ASAP Art』への寄稿などがある。

イブラヒム・クルト

クルトはトルコ東部の山岳地帯にあるクルド人の家に生まれ育ち、現在はオランダで活動している。近年は、映像、インスタレーション、パフォーマンスをとおして、移民である作者が「故郷」を見つけていく過程で複層化する自身の帰属意識を描き、観るものに民族の分散や、生まれた土地から離れて暮らす経験についての対話を促す。私的な経験をクルド人の総体的な経験と結びつけながら語る手法は映像作品にも表れている。共同制作した《Our house is only half finished》では、自身の脆く移ろいやすいアイデンティティが、故郷でよく見られる繰り返し建て直されながらも未完成のまま放棄された家々になぞらえられている。過去の主な展示・活動に Ijssel Biennale 2025(デーフェンテル、オランダ、2025)や「Our house is only half finished 」(Netherlands Kurdish Institute、アムステルダム、2024)などがある。

佐藤浩一

東京都を拠点に活動。自然環境と生き物、また生産と消費から社会を読み解き、映像だけではなく香りや音を組み合わせた作品制作に取り組んでいる。制作の出発点には環境や社会に対する疑問があり、それらが具体的に現れ出ている場に赴いてリサーチを行う。近年の作品に、東京都西部の水道水がPFASによって汚染され、それが人体に異物として入ってくることから、みずからの身体が意識せずとも他者化している可能性に向き合ったものがある。疑問からリサーチを経て作品化し、それを総体的な鑑賞体験へと開きながら、環境と生き物の関係性をさまざまな角度から考察する。過去の主な展示・活動に、恵比寿映像祭2023「 テクノロジー?」(東京都写真美術館、2023)やタイランド・ビエンナーレ コラート 2021(コラート、タイ、2021)、「第三風景」(金沢21世紀美術館、2019)などがある。