2007年11月26日(月)18:00〜

キュレーションのハードコア

オープンスタジオ開催記念シンポジウム

キュレーターという言葉は、一般的に「学芸員」あるいは「展覧会をする人」と考えられています。しかし、私たちは「キュレーター」という職業はそのような固定的な役割を常に踏み越えていくものだと考えています。

「アート」は状況に応じてその形態と潜在力を変化させていきます。「キュレーション」も同様に、それに沿ったかたちで、その役割と内容を変えていくはずです。あるいは、キュレーションとは、仕事内容ではなく、アートに対する一つの態度表明のようなものではないでしょうか。

とりわけ現在、「ギャラリー主導型の商業的アート」と「市民主導型の地域再開発的アート」が日本国内で展開されていますが、それらは共にグローバライゼーション下における大きな資本の流れから派生している従属的なアートの形態に過ぎません。私たちはそれに対抗しながら、アートの潜在力を発揮させるための「批評的なキュレーション」というものを考えたいのです。

アーティスト・作品・アートシステムとの関係の構築方法について、マネージメントとキュレーションについて、リージョナルとインターナショナル/グローバルについて、オーガニゼーションとネットワークについて、制作/ドキュメント/流通について、インスティテューションと個人について、オルタナティヴなリサーチャー/クリティック/アーキヴィストとしてのキュレーターについて、キュレーションが可能/不可能にする「歴史」と「社会」について、などなど。社会、経済、政治、歴史と拡大するアートの活動領域を横断しつつ、未来のアートを存立させるキュレーションのハードコアを探りたいと思います。

シンポジウムでは活発な意見交換と議論をバシバシやります。それを通して各自が考えるそれぞれの「キュレーション」を明らかにしたいと考えています。みなさまの御参加を心よりお待ちしております。

遠藤水城・徳山由香

 

※当日はアーカス・プロジェクトによるアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの成果発表展「オープンスタジオ」の開催期間中です。お早めにお越しいただき、是非展覧会もお楽しみ下さい。

上崎千(うえさき せん)
uesaki_sen.jpg芸術学/批評/アーカイヴ理論。1974年、神奈川県生まれ。98年、多摩美術大学大学院美術研究科修了。横浜トリエンナーレ2001、キュレータリー・アシスタント。02年、パレ・ド・トーキョーの招聘によりパリ滞在、同美術館のオープニング展にて (c)uratorman を演じる(N. Rawanchaikul との共演)。03年以降、多摩美術大学ほか各種研究機関にて、芸術に関するアーカイヴの設計および構築に従事。慶應義塾大学講師(非常勤)、同大学アート・センター訪問所員。「岡崎乾二郎のディプティック」『SAP Journal』10号(2003年3月)。「印刷物=印刷された問題(printed matter)-- ロバート・スミッソンの眺望」『アイデア』320号(2007年1月)。「アーカイヴと表現(A WHOLE LIST OF THINGS)」『ARTLET』28号(2007年9月)。


建畠晢(たてはた あきら)
tatehata_akira.jpg国立国際美術館館長。1947年京都生まれ。1972年に早稲田大学文学部卒業後、国立国際美術館主任研究官、多摩美術大学教授を経て、2005年より現職。専門は近現代美術。1990年、1993年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナー、横浜トリエンナーレ2001のアーティステイック・ディレクターなどを務める。アジアの近現代美術の企画にも多数参画。詩人としても活躍し、1991年に歴程新鋭賞、2005年に高見順賞を受賞。大阪在住。


ロジャー・マクドナルド
rogermc.jpg1971年生まれ。イギリスのケント大学にて宗教学修士課程修了後、美術理論にて博士号を取得。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして、国内外で数々の小規模な展覧会を企画。「横浜トリエンナーレ2001」では、南條史生氏のアシスタント・キュレーターとして活動。興味の対象は幅広く、キュレーションの歴史、特権的なアートスペース以外で行われるインディペンデントなキュレーションの可能性の研究のほか、キュレーションと社会政治研究のための個人的なアーカイヴ作りに取り組む。低予算で社会に介入してゆくインディペンデントな動き「タクティカル・キュレーティング(tactical curating)」を調査するウェブログ「タクティカル・ミュージアム(The Tactical Museum)」を主宰している。2006年「シンガポール・ビエンナーレ2006」キュレーター。武蔵野美術大学非常勤講師。多摩美術大学非常勤講師。

遠藤水城(えんどう みずき)
mizukiendo.jpgキュレーター。1975年札幌生まれ。2004年、九州大学博士後期課程満期退学。2001年より「rhythm」名義で活動を開始。2004年、福岡市に「アートスペース・テトラ」を設立。同年、日本財団助成によりフィリピンとインドネシアに1年間滞在、現代美術シーンを調査。マニラにて「Future Prospects Art Space」の設立に参加。2005年、国際若手キュレーター賞「ロレンツォ・ボナルディ・アート・プライズ」に長谷川祐子の推薦により参加。同賞を受賞。2006年、ベルガモ近現代美術館(イタリア)にて「Aesthetics/Dietetics」展を開催。同年「シンガポール・ビエンナーレ2006」ネットワーキング・キュレイターを務める。2007年、Asian Cultural Council助成により米国に滞在、キュレーターの諸実践を調査。現在は、茨城県が主催する「アーカス・プロジェクト」のディレクターを務める。共訳書にジェイムズ・クリフォード『ルーツ - 20世紀後期の旅と翻訳』(月曜社)。


徳山由香(とくやま ゆか)tokuyama_yuka.jpgキュレーター、現代美術・建築研究。1972年大阪生まれ。早稲田大学文学研究科美術史専攻修士課程修了。国立国際美術館などでの勤務と並行して、オルタナティヴ・アートシーンをめぐるリサーチ・プロジェクト「art plan-美術(計画)地図-」(大阪アーツアポリア、log-osaka web magazine 共催、2003-05年)、ワークショップとインスタレーションのプロジェクト do it yourself [rokkosan] nation kawaï(神戸、2004年)などを手がける。2005年より文化庁在外研修によりフランスにて活動。2006-07年インターナショナル・キュレトリアル・トレーニング・プログラム、エコール・デュ・マガザン(フランス、グルノーブル)に参加、共同プロジェクトとして Harald Szeemann: Individual Methodology出版、現代美術のキュレーターへのインタヴュー・ヴィデオ Everybody Wants to Rule the Worldを制作。