ダニエル・ニコラエ・ジャモ / Daniel Nicolae Djamo

  • 招聘年2017年度レジデント・アーティスト
  • 出身1987年ルーマニア生まれ
  • 国籍ルーマニア
  • 招聘期間2017年8月25日-12月12日(110日)
  • ウェブサイトhttp://djamo.weebly.com/
滞在制作にあたって

私は、アーカスプロジェクトでのレジデンスにおいて、滞在後に完成させる作品も含めいくつかのアイデアを発展させました。主に取り組んだ参加型プロジェクト《16種の紙の音》では、2028年という架空の未来の年に茨城周辺で起こった紛争をきっかけに16人の日本に住む人々が辿ることになる人生を、インスタレーションとして発表します。
これは、過去の紛争を理解し反映するとともに、現在私たちが社会で直面する闘争と緊張関係の結果を予想するようなフィクションとなりました。この架空の年を表現するため、それぞれにストーリーを構築した若者たちとのコラボレーションです。
また平行して、観光客にも日本の市民にも知られていない守谷という街が、日本で最も素晴らしい街であることを世界中に知らしめるためのドキュメンタリー《守谷ファースト・東京セカンド》を制作しました。《隕石を集める》ではかつて私が日本にいた時期に、もらったかもしれない隕石を展示しています。それぞれの石には空想的で非現実的な物語が込められています。

1987年ルーマニア、ブカレスト生まれ。2016年ブカレスト国立芸術大学美術史理論博士課程修了。映像、インスタレーション、立体作品を制作。国外で偶然出会った人にインタビューを行いルーマニア像を提示するドキュメンタリー・タッチの映像作品に代表されるように、作品は母国の経済的状況、移民としてのイメージなど、ヨーロッパ内でのルーマニアの表象をユーモラスに問いかける。自身の家族の歴史などをテーマとした近作もある。インディペンデント・フィルムの世界でも作品を発表し、コンペティションでの受賞経験も多い。

[主な展示・活動歴]
2017 “Sixteen Routes to the Perfect Sunshine”, Galerija K18, マリボル, スロベニア
2016 “Magic… You Want?”, AAI - Afro-Asiatisches Institut Graz, グラーツ, オーストリア
2016 “Bjergtrolde”, ARPIA - art with landscape, ヘルゼーレ, ベルギー
2015 “Before the End”, KKW (KunstKraftWerk Leipzig), ライプツィヒ, ドイツ
2015 “Unicorn Tales”, Victoria Art Gallery, ブカレスト, ルーマニア

選考理由
意図的に母国に関するステレオタイプに言及しユーモアを交えつつも政治性・批評性が高い作品に興味を覚えた。アーカスプロジェクトでのレジデンスのためのプロポーザルは、守谷市民に、ルーマニアを離れて日本に住んでいるという架空のルーマニア人の人物を考えてもらい、そこから2028年のストーリーを作ってもらう、というもので、発想のユニークさが刺激的であった。ヨーロッパでは多数のAIRに参加しているが、作家にとって東アジアのAIRは初参加になる、ということも考慮に入れた。


オープンスタジオに寄せて
ジャモは、EU加盟後の母国の社会変化や、ヨーロッパ内での移民としてのルーマニア人のイメージ、自身の家族の歴史など、非常に多様なテーマで作品を制作する。

今回の滞在では、16歳から30歳までの若者と2028年の出来事を想像するワークショップを行った。紛争の連鎖が起き日本に住む人々も海外移住を迫られるという架空の設定のもと、参加者に物語を考えてもらうもの。その中から16の物語が書かれた紙が、オープンスタジオでは展示される。作家は同様のワークショップを世界各地で行い物語を収集している。ほかにも、作家本人がレポーターに扮して守谷市の隠れた魅力を世界に向けてPRするドキュメンタリー風のフィクション映像と、作家が日本各地でさまざまな人からもらった隕石という設定の石も公開される。

これらに共通するのは、ネット上で発見可能かもしれない奇抜な物語性である。そして、ジャモはそれ以上に独創的な物語を作る人間の想像力に興味を持つ。と同時に、制作活動には移民など社会の事象に関心を持つ作家の現実を見つめる視点も反映されている。

近藤健一

これまでの作品画像を見る
活動の様子画像を見る
オープンスタジオ画像を見る

2017

フリエッタ・アギナコ&サラ・ドゥムーン〈メキシコ&ベルギー〉

ダニエル・ニコラエ・ジャモ〈ルーマニア〉

カーティス・タム〈米国〉