2007年10月06日(土)19:00〜

対談 白川昌生×毛利嘉孝 「オルタナティヴなアートの方へ」

近年、「地方」や「地域」におけるアート・プロジェクトが爆発的に増加しています。従来の都市的・商業的アートとは異なる側面に光をあてるという意味で、それらは意義のあることかもしれません。しかし、そういったプロジェクトの中には、どこかアートの本質を失っていると感じられるものが見受けられないでしょうか。

それでは、地方の、オルタナティヴなアートが、同時に核心を突いた先鋭的なアートであることは可能なのでしょうか。アーティスト・白川昌生は1993年より「場所、群馬」を設立し、群馬を拠点に様々なプロジェクトを展開してきました。同時に『美術、市場、地域通貨をめぐって』 (2001年/水声社)、『美術、マイノリティー、実践』(2005年/水声社)など、ラディカルな問いかけを多く含んだ著作を刊行しています。今年は「フィールド・キャラバン計画」を発表し、『美術・記憶・生』(2007年/水声社)を刊行するなど、その活動は加速度的に重要度を増しています。一方で毛利嘉孝は、90年代後半より日本におけるカルチュラル・スタディーズの旗手として活動を展開してきました。とりわけ『文化=政治 −グローバリゼーション時代の空間叛乱』(月曜社/2003年)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房/2007年)といった著作は「文化」の側面から現代社会にアプローチする方法論を鮮やかに示しています。今年は様々な草の根的な市民運動に参加すると同時に「北九州国際ビエンナーレ」のディレクターを務めるなど、多方向的な活動はとどまるところを知りません。

本イベントでは、アーカスで初めて出会う二人が、地域と都市、アートと経済システム、記憶と公共性などいくつかのテーマをめぐって様々な対話を試みます。みなさまのご参加と活発なご意見をお待ちしております。

shirakawa-pic-1.jpg白川 昌生
(しらかわよしお)
1948年、福岡県北九州市生まれ。ドイツ国立デュッセルドルフ美術大学で彫刻を学び、ヨーロッパを拠点として国際的に活躍する。後、一地方都市である群馬に移り住み、場所が持つ記憶や歴史に注目した作品の制作をはじめる。1993年、美術活動団体「場所・群馬」を創設し、地域に住む多くの美術作家と協働での作家活動を、現在に至るまで展開中である。また、制度としての美術をめぐる著作など、幅広い分野で活動している。
 

shirakawa-pic-2.jpg毛利 嘉孝
(もうりよしたか)
東京藝術大学准教授。一九六三年生。専攻は社会学・文化研究。特に音楽や美術など現代文化と都市空間の編成や異文化理解をテーマに幅広く活動中。主著に『文化=政治:グローバリゼーション時代の空間の叛乱』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義』せりか書房、共著に『カルチュラル・スタディーズ入門』『実践カルチュラル・スタディーズ』(ちくま新書・ともに上野俊哉との共著)、翻訳にジェイムズ・クリフォード『ルーツ』など。編書に『日式韓流:『冬のソナタ』と日韓大衆文化の現在』(せりか書房)。NPO法人アート・インスチチュート北九州理事。北九州国際ビエンナーレ07ディレクター