第54回目のヒビノホスピタルは、梅から桜の時期にバトンタッチか・・・?という時期に、 偕楽園にて行われました。今回のタイトルはずばり、ウメアニメ。
ちょうどアカデミー賞授賞式が行われた直後だったこともあり、 ウメアニメはアカデミー賞を目指す!と突然日比野さんが宣言。 参加者たちは、ややびっくりしながら、真剣な表情でウメアニメについての説明に耳を傾けます。 渡されたのは無地のノートと6色ボールペン、そして画板代わりのクリップバインダー。

まず、右側のページに頭から通し番号を振っていきます。 30までの数字が振られたノートができました。 「これはコマ数になります。さて、テレビは1秒間が何枚の絵でできているか知ってる?」
答えは25フレームです。テレビだったら、1秒5フレのアニメーション。 時間にすると「あっ」という間に過ぎてしまう時間。 30枚の白いページにはどんなウメアニメが生まれ出るのでしょう。
みんなのノートには、通し番号だけでなく、全ページに地面を表現する線と2ページ目には、土にうもれたウメの種がかかれています。 ウメアニメのウメは、1つの種から始まり、伸びていく梅の木が主人公になります。
あ。そういえば、「ウメ」も「アニメ」も、そのまま外国で通用する言葉です(たぶん)。 韻を踏んでいることだってワールドワイドに直に伝わるのではないだろうか・・? ウメアニメ、アカデミー賞を狙えるかもしれない! みんな一斉に、世界へ飛び・・、いや、まずは偕楽園へウメアニメのヒントを得るために飛び出しました。

風はまだ冷たいけれど、太陽はぽかぽかいいお天気の偕楽園。犬の散歩やデート中のカップルたちものんびりしていました。 そんな中、ヒビノホスピタル参加者は、それぞれ思い思いのウメの木の前に陣取って、6色ボールペンでスケッチしながら、ウメの木の一生を想像していきます。 時々、ぱらぱらしながら、すこしずつウメが伸びていくのを確かめます。 30フレームでどこまでウメは伸びるんだろう。 はやく次のページを描きたくてしょうがない気持ちになりながら、1ページずつ描き込んでいきます。

部屋に戻って、さあ上映会。
といっても、ウメアニメは、古式ゆかしいパラパラアニメなのです。 順番に全員のノートをまわして、 パラパラパラパラ・・・
一人一人の手の中で開かれた小さな上映会。 観客からは、歓声や驚きや、笑い声も聞こえてきますよ。
1冊1冊にかかれたウメは見事にちがうストーリーを生きていました。 カラフルな雨雲がやってきて雨を降らせるもの、台風で倒れてしまうもの、 梅の木と関係なくUFOが横切るもの、大輪の花を咲かせて散り地面がピンクの絨毯になるもの、 なんと最後には人間になっちゃうウメの木もありました。 ぱらぱらとめくって見る人のことを思い浮かべながら、展開の練られたアニメーションばかり。 笑わせたいな、ビックリさせたいなと思う気持ちがそこにはありました。 見てくれる人がいるから、表現したくなるんだよね。
ウメの木と、ウメの木の周辺で起こること。 一冊のノートに書き込まれた、たった30フレームのウメアニメ。 ぎゅっと凝縮された時間がこめられた、小さいけれど濃密な1冊ができあがりました。